「どこを目標にすればいいの?」というモヤモヤ
投資を始めようとすると、よく出てくるのが「4%ルール」や「FIRE」という言葉ですよね。
頭では「資産を作って、年4%で取り崩せれば一生安泰」というイメージはわかる。けれど、実際にそこまで資産を貯めるのは気が遠くなるし、「そこまで我慢し続けるなんて無理…」と感じることも多いと思います。
コップに水を注ぎ続けて、あふれ出た分だけで生活する——そんなイメージは理想的です。
でも、現実には「いつになったらあふれるの?」「そこまで待てないよ」と感じてしまう。結果として、途中で一気に取り崩してしまったり、そもそも投資を始める気持ちになれなかったりします。
この記事では、そんな「4%ルールは知ってるけど、そこまでの道のりが遠すぎる」と感じている人に向けて、効率は少し落ちるけれど、精神的にはかなりラクになる一つのやり方を提案します。
提案するやり方の全体像
やり方はとてもシンプルです。
- インデックス投資への積立投資は続ける
- 同時に、残高に対して定率(年4%以下)で取り崩す
- その取り崩したお金は「余剰資金」として、自由に使う
ポイントは、「資産が十分に貯まってから取り崩しを始める」のではなく、今の段階から“少額でも取り崩しを組み込んでしまう”ことです。
年4%以下の取り崩しなら、一般的には資産が減りにくいと言われています。
月ごとに考えるなら、単純に「4% ÷ 12 ≒ 0.33%」が目安です。
- 例:資産100万円の場合
- 年4%:4万円
- 月あたり:約3,300円
この3,300円を「今の自分が楽しむためのお金」として使ってしまうイメージです。
具体的なステップイメージ
ステップ1:インデックス積立を設定する
- つみたてNISAや特定口座などで、全世界株式や米国株式などのインデックスファンドに毎月一定額を積み立てる。
- ここは従来の「長期・分散・積立」と同じです。
ステップ2:残高に対して年4%以下の取り崩し額を計算する
- 毎月末などに残高を確認し、「残高 × 4% ÷ 12」を目安に取り崩し額を決める。
- 4%が不安なら、3%や2%にしてもOKです。
ステップ3:その取り崩し分を“余剰資金”として使う
- ちょっといい外食
- 欲しかった本やガジェット
- 小旅行の足しなど、「将来のために我慢している自分」へのご褒美として使うイメージです。
注意点:最低限の残高は必要
証券会社によっては「売却額が1,000円以上」などのルールがあるため、
- 毎月の取り崩し額がその最低額を超えるだけの残高は必要になります。最初は「数十万円〜」くらいを目安に考えると現実的かもしれません。
このやり方のメリット
1. 「将来のためだけ」じゃなく「今の自分のため」にもなる
多くの人がつまずくのは、「今を犠牲にして、はるか先の将来のためだけにお金を積み立てる」という構図です。
それだと、途中で疲れてしまったり、「本当に意味あるのかな?」と疑いたくなったりします。
この方法では、投資が「今の生活を少し豊かにしてくれる仕組み」に変わります。
- 「今月は投資から3,000円分の“お小遣い”が出た」
- 「来年にはこれが4,000円、5,000円になっているかもしれない」
こう思えると、投資が「我慢大会」ではなく、「育てながら楽しむゲーム」に近づきます。
2. 残高が減りにくい取り崩しなので、基本的には資産は増えやすい
インデックス投資を続けながら、取り崩し率を年4%以下に抑えていれば、
長期的には「積立額+運用益」の方が取り崩し額を上回る可能性が高くなります。
その結果どうなるかというと:
- 残高が増える
- 残高が増えると、同じ「年4%」でも取り崩し額が増える
- 毎月の“余剰資金”が少しずつ増えていく
つまり、「今の楽しみ」も、「将来の資産」も、両方を少しずつ育てていく形になります。
3. 将来「いつ売るか」を悩まなくていい
多くの人がFIREや老後資金で悩むポイントが、「どのタイミングで積立をやめて、どのタイミングから取り崩しに切り替えるか」という問題です。
この方法なら、最初から「積立+取り崩し」をセットで運用しているので、
FIREが見えてきても、やることは同じです。
- 生活費の多くを資産からの取り崩しで賄えるようになったら、
- 積立額を減らす
- あるいは積立をやめて、取り崩しだけ続ける
という形に自然に移行できます。
「いつから本格的に取り崩しに入るか?」といった大きな決断をしなくていいのは、精神的にかなりラクです。
4. 自動化しやすく、資産をいちいち見なくていい
この方法は、ある程度ルールを決めてしまえば、かなり自動化しやすいです。
- 積立は自動引き落とし
- 毎月の取り崩しも、ルールに沿って機械的に売却
「今月は株価が下がっているからどうしよう…」と悩む時間を減らせます。
資産の増減に一喜一憂するのではなく、
「毎月いくら“投資からのお小遣い”が出ているか」に意識を向けることで、メンタルも安定しやすくなります。
デメリット・注意点も正直に
もちろん、いいことばかりではありません。
- 効率はやや落ちる
本来なら再投資して複利を最大化できる部分を、あえて取り崩して使うので、「最速で資産を最大化したい」という人には向きません。 - 最初は金額がかなり小さい
資産100万円で月3,000円程度ですから、「これだけ?」と感じるかもしれません。ただ、その「小さな金額」が、投資を続けるモチベーションになるなら、十分意味があります。 - 取り崩し率を上げすぎないことが大前提
年4%を超えて、6%・8%と増やしていくと、さすがに資産が減るリスクが高まります。「基本は4%以下」「不安ならもっと低く」というブレーキは必ず意識しておきたいところです。
「遠いゴール」ではなく「今からの習慣」を目標にする
この記事の最初の問いは、
「投資を開始するにしても、どこを目標にすればいいのか?」でした。
4%ルールやFIREを「最終ゴール」にしてしまうと、
- 道のりが遠すぎてやる気が出ない
- 途中で我慢できずに崩してしまう
ということが起こりがちです。
そこで、目標をこう変えてみるのはどうでしょうか。
「インデックス積立を続けながら、毎月“投資からの余剰資金”を少しずつ増やしていく」
- 最初は月1,000〜3,000円かもしれない
- 数年後には5,000円、1万円になっているかもしれない
- その頃には、資産残高も今よりずっと増えているはず
こういう「成長していくキャッシュフロー」を目標にすると、
4%ルールもFIREも、「いつか自然と近づいていくもの」になります。
まとめ:我慢だけの投資から、「今も楽しむ投資」へ
- 4%ルールは知っていても、そこまで我慢し続けるのは現実的にしんどい
- コップからあふれ出る水だけで生活するのは理想だが、そこまで待てない
- だからこそ、「積立を続けながら、年4%以下で定率取り崩しをして、その分を今の自分のために使う」というやり方が一つの選択肢になる
効率だけを追い求めると、「もっと我慢できたはず」「もっと増やせたはず」と自分を責めがちです。
でも、人生は今この瞬間の積み重ねでもあります。
少し効率を落としてでも、
- 投資を続けやすくなる
- メンタルが安定する
- 「投資していてよかった」と日々感じられる
のであれば、そのやり方には十分な価値があります。
「完璧なFIREプラン」よりも、
「今日から無理なく続けられる仕組み」
をつくること。
それが、長い投資人生において、いちばん大事な目標なのかもしれません。

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